「機械エンジニアに英語力は必要?」
「仕事で使うシーンがあるのか。」
「英語力を身につけることでメリットはある?」
そう思うあなたへ。
- 機械系エンジニアに英語力が必要な3つの理由
- 機械系エンジニアの英語力
- エンジニアが英語を使えることの価値
についてお伝えします。
この記事を書いている私は、大手メーカエンジニア。
海外駐在も経験し、社内外問わず北米や欧州のメンバーと英語でコミュニケーションをとりながら仕事をしています。
機械系エンジニアに英語力が必要な理由
順に説明していきます。
英語力が必要な理由①英語で情報を集められる
仕事に必要な調査を英語で行うことで、収集できる情報の量が圧倒的に多くなります。
機械設計はCADやCAEをはじめとして、それらと組み合わされるプラグインや最適化ツールなども含め、ソフトウェアの支援を受ける機会が増えています。
これらのツールは海外製であることが多く、使い方やサポートの情報は対策などは英語で公開されています。
エラーが起きたときの解決法なども、インターネット上の掲示板などで様々な国の技術者が英語で情報交換をしており、知りたい情報が日本語で書かれていることはほぼありません。
仕事に必要な情報を大量かつ効率的に集めるためには、英語力が必要です。
英語力が必要な理由②業務の効率化を図ることができる
私の職場では、海外との案件はほとんど通訳・翻訳に頼りきりでした。
英語が理解できなければこれらに頼るしかありませんが、
通訳を使った業務はとにかく効率が悪い。
日英それぞれの発言を翻訳するため、それだけで単純に時間が2倍。
↓
通釈者が理解できなかった場合、発言内容・発言意図の説明や専門用語の意味の説明などを挟むため、2.5倍。
↓
時間が長引くことによって休憩をとる
↓
さらに時間がかかり、通訳機の電池がなくなったり通訳者が日英のチャンネルを間違えて日本人に英語を話してしまったり…
お決まりの細かなトラブルも含めると、冗談抜きで3倍くらい時間がかかります。
エンジニアが英語を十分に使えれば、こういった事にはなりません。
また、機械系エンジニアの仕事のアウトプットにも英語を使う場合があります。
例えば、設計図や仕様書の内容を英語で記載する、などです。
これに翻訳ツールを使うもありですが、仕様書に用いる日本語は通常の会話や文章とは異なるため、そのまま翻訳するととんでもない表現になることもあります。
ところが英語ができないと、そのおかしさに気づけない。
海外の取引先などにその書類が届いたときに、誤解を解消する作業が始まってしまうのです。
本来技術的なやり取りをすべきところを、表現の誤解を解くことに時間を使う。
これらの非効率なことを、英語ができることで避けられるのです。
余談ですが、私が見た翻訳のなかで最悪のでたらめ英語は、
(日本語)〇〇のデータ添付のこと。
(英語)〇〇data attach thing.
どんなツールを使ったのか知りませんが、「こと」をthingとでも訳したのでしょうか(笑)
こんなことが書かれた書類が、本当に存在しています。
英語力が必要な理由③論理的思考を身につけられる
英語は構造が論理的と言われるだけあって、英語を使えることは論理的思考ができることにつながります。
あいまいな表現が許される日本語に対して、英語は自分の主張に沿った表現とする必要があるためです。
日本語は論理性に対して大らかなところがあり、「私の専攻は数学だが、物理は得意だ」という文章を見ても違和感がないかもしれません。
しかし、「数学が専攻にもかかわらず物理も得意だ」と逆説的にも受け取れるし、「数学が得意なのはさておき」と因果関係のない単なる情報を並列しているだけとも受け取れます。日本語の「が」という言葉が便利すぎて、安易に使ってしまうのです。英文に変える際は、順接、並列、逆接を明確にしなければなりません。
実際に、私が職場で尊敬していた先輩や上司は、物事を順序だてて短い言葉で的確に表現し、論理的な考え方ができる人たちでした。
彼らに共通したのは、英語が堪能だということ。
TOIECがすべてというつもりはありませんが、スコアは800以上ありました。社内平均値の2倍近いスコアです。
彼らが論理的な考え方においてすぐれた能力を持つのは、英語ができることとリンクしているはずです。
もちろん、言語を学べば論理的思考が見につくわけではありません。
しかし、英語を使うことで論理構築に対する意識は格段に上がります。
英語力は、エンジニアに求められる論理的思考を身につける助けとなるのです。
機械系エンジニアの英語力
機械系エンジニアの私の視点から見て、機械系エンジニアの英語力はあまり高くないと言えます。
過去に私の関わっていたプロジェクトは海外の取引先と仕事を進めていましたが、私たちの会社の日本人メンバー15人のうち、英語で会議を進めるなどして仕事をリードできた人は3人ほどでした。
残りのメンバーは、会話は全くできず、翻訳ツールを使ってメールを打つのがやっと。
それも、仮に翻訳に誤りがあっても気づけないというレベルです。
ちなみに私の会社のTOEICの平均点は500点を割っています。
あくまでも私の周囲の話ですが、特に工業高校や高専卒の知人は、英語に苦手意識を持った人が多いように思います。
職業柄、技術者としての専門性を高めることが優先されるため、語学への関心が薄いことが影響しているのかもしれません。
機械系エンジニアが英語を使えることの価値
機械系エンジニアが英語を使えることの価値は、「技術者としての市場価値を高められること」です。
英語ができる人が少ない業界であるがゆえに能力を差別化しやすいことが理由です。
上を目指すために身につけるスキルの分野として、英語はまだまだブルーオーシャンです。
私は機械エンジニアとしての経験は広く浅くのタイプであったので、ある分野に焦点を当てると同僚よりも技術力では劣っていました。
しかし人より英語ができたことで、海外取引先とのプロジェクトに関わってからは、同僚や先輩、上司、重役にまで自分の存在をアピールすることができました。私にしかできない仕事もたくさん回ってきました。
結果、半年後に評定は上がり、昇給しました。
技術のプロフェッショナル達と技術で戦うより格段に速く、自分の存在価値を高められたのです。
そうはいっても、英語を使う機会がまったくないというケースもあるかもしれません。
しかし、それは使うことを避けているだけではないでしょうか?
仕事に関連する情報を英語で情報を集められるだけでも、機械系エンジニアとしての価値は格段に高くなります。
英語を習得して仕事で使えるようになるということは、単にコミュニケーションを円滑に進めたり業務を効率化させたりすること以上に、自身の市場価値を高めるうえで大きな意味があるのです。